『GANTZ』の池袋編以降を大人買いして愉しんでいたところに『GANTZ:E』が発売され、そちらも『GANTZ:G』同様、面白くなっていきそうなので「他に何かないかナ?」と探していたところで出会った本作(長い)。『GANTZ/EXA』と違って原作を相当に意識しているとの前評判から期待して読み始めたのですが、かなりの秀作。堪能しました。
物語は『MINUS』とある通りに、原作の主人公・玄野がガンツに入る前の話。主人公は冴えない少年で、例によって人助けをしたことからご臨終。目が覚めるとガンツ・ワールドに自分はいて――という話。先輩に可愛い女の子がいて、というあたりは『GANTZ:E』とも同じ。この主人公が彼女にホの字となるも、彼女には彼女の事情があって――というところも青春物語としては既定路線。
平凡なボーイが星人退治に邁進するなかで自信をつけていく展開は原作を踏襲しながら、意外なのは満点を取ったあとの主人公の行動でしょうか。これであっさりと幕切れかと思いきや、『Extra Phase 循環する破滅』でホストさむらいと和泉との出会いを描いているところも素晴らしい。原作と共通する登場人物は和泉と西君なのですが、和泉がある星人から見せられるビジョンが彼を呪縛していたという裏逸話が興味深い。そして原作から登場する二人が、どちらかというとワルに徹する立ち位置にありながら、原作では和泉はあのような最期を遂げ、西君も西君でたけし君を助けたりというふうに変化・成長していく二人が本作ではその片鱗もなく描かれているところがなかなかにクール。
原作を愛するファンであれば、かなり愉しめるのではないでしょうか。オススメです。