ぼろフォト解決シリーズ022 SIGMA dp2 Quattro 実写速報 / 小山 壯二, 酒井 孝彦, 齋藤 千歳

ぼろフォト解決シリーズ022 SIGMA dp2 Quattro 実写速報 / 小山 壯二, 酒井 孝彦, 齋藤 千歳 今はKindleで300円なんですが、ちょっと前までタダで配布されていたときに手に入れた次第。300円の価値はあるかというところなんですが、……うーん(苦笑)。それでも、Merrill三兄弟オーナーの自分としては、「速報」としてまとめられた内容は参考になりました。

内容は大きく分けて「基本性能編」、「画像効果編」、「インプレ」に分かれていて、このなかでやはり気になるのは「基本性能編」にある「解像力」でしょう。Merrillと比較して解像力の向上はホンモノなのか、それともネットでの噂通り(ファームのアップグレードで着々と解消はされてきているようではありますが)、致命的な問題を抱えたままなのかどうか――。

ただ、Kindleですと、Raw、JPEG S-HI、JPEG HIと同じ画像が掲載されていてもその違いがまったく分からないというところが痛し痒しで、せめて一ページぶんくらいに拡大した等倍の切り出し画像を掲載しての比較を行ってくれていればヨカッタのにと感じた次第です。Kindleで見ることを前提としながらも、あくまで組版は紙ベースのものを踏襲しているところがチと惜しいというか。Kindleのページをタブレットの上でスワイプしてもその差はごくわずかどころかまったく判らないのは、自分のタブレットの解像度が低いからなのかは不明なところが何とももどかしいものの、その次のページに掲載された「解像力チャート」では、「0.9と1チャートの中間、このチャートはベイヤー配列の一般的なデジカメでは解像できない。しかしdp2はこれを軽々と解像」という説明が添えられてい、dp2の並外れた解像力を垣間見ることができます。

続く「ぼけ」については、F2.8とF4.0の写真が並べて掲載されていて、二つの写真を見た限りでは、ぼけの傾向はMerrillとそう変わらないという印象を持ちました。もっともレンズはMerrillもQuattroも変わらないとのことですから、これには大いに納得した次第です。もう一つ、Merrillとの比較で参考になったのは、「ISO感度」で、これはスワイプすることで、掲載されたJPEG HIの画像をまじまじと見つめることができました。羽の部分を切りだした画像を見た限りでは、ISO800でも大きな色の濁りはなく、ノイズには基本的には肝要な自分であれば、ISO1600でイケるかも、――と感じました。

そして「画像効果編」でビックラこいたのが「ポートレート」の作例で、ポートレートといえば、若いモデルを使ってその綺麗な肌の艶やかさをしっかりと見せて、カメラの性能をアピールするのがこうした作例集では常識ながら、本作では敢えて中年女性をモデルとすることで、肌のしみ、くすみ、こわばりなどのリアルな質感を残酷なまでに映し出し「ポートレート」モードと「スタンダード」の色味を比較しています。ただ、画像データにRAWなのか、それともJPEGで撮影したものかの記載がないので、その点ではあまり参考にならないというか、……肌の質感に関しては、Merrill使いであればSPPでノイズリダクションを調整するのは半ば常識化していることでしょうし、その点ではあくまで参考程度にとどめておくのが吉でしょう。

内容は薄く、写真データの詳細が不明な点など問題はありますが、「速報」という点で見れば、うまくまとめられており、dp2 quattroの実力の片鱗を垣間見ることができる一冊といえるのではないでしょうか。