古老的記號 / 林瑪黛 Ma-te Lin

古老的記號 / 林瑪黛房間裡的動物』をリリースする前の、林瑪黛のミニアルバム。収録曲はたったの三曲で、中でも「大象説」はすでに『房間裡的動物』にも入ってるため、あまり期待していなかったのですが、残りの二曲が素晴らしい。「古老的記號」は、「満奇」などや「Oh Darling」などのウェットな雰囲気の曲風とは異なり、中盤からの力強いリズムが印象的。冒頭の林意倩によるしずしずとした語りから一転して、リズムが前面に出てくる転調が痛快です。

そして「孥克的詭計」は林意倩のしずかな歌い出しから始まる序盤こそ同じながら、こちらはおおきな変化を控え、ミドルテンポを引き継いだまま静かに終わります。しかしこのキーボードワークやボーカル……なにか懐かしいカンジがするなァ、と……記憶を辿っていったのですが、ZABADAKの『WATER GARDEN』の聴いたときの感覚に似ているような気がします。『WATER GARDEN』は、アイリッシュトラッドの技巧を導入してヒットした傑作『遠い音楽』より前のリリースですが、あのころのZABADAKだけが持っていた初々しさが、このミニアルバム『古老的記號』にも感じられます、――ってあくまで個人的な感想ですが(爆)。

「大象説」は『房間裡的動物』にも収録されている曲ですが、この曲の歌詞と「満奇」とに共通するテーマにちょっとだけ興味が湧いてきました。「大象説」の方が曲としては古いため、「満奇」と違って動物愛護の主題はかなりストレートに語られていますが、「満奇」にも通底しているのは、人間が動物を”保護”するべきという上からの目線で語られるようなものではなく、むしろ人間と動物とで共有されるべき世界観の不全や、人間と動物のコミュニケーションの必要性が歌われているような気がするのですが、このあたりはまた「満奇」と「大象説」の歌詞の内容を取り上げたときにでも語ってみたいと思います。