FORESTS & 落日飛車 JAPAN TOUR 2016 @ 青山月見ル君想フ

JAPAN TOUR 2016の初日となる台湾のバンド・FORESTSと落日飛車のライブを昨晩見に行ってきたので、簡単ながら感想をあげておきたいと思います。落日飛車は、ギターとボーカルの國國、ベースの弘禮、ドラムの尊龍、キーボードの小甘、パーカッションの浩嘉からなる五人組で、2011年にアルバム『Bossa Nova』をリリース。この記事などによると、「台北のインディーズの中で突出した存在のライブバンド」であるとのこと。

一方のFORESTSは、落日飛車の國國がベースを、尊龍のドラムに、ボーカルとシンセ、パーカッションのJonの三人からなるバンドです。自分がこのバンドの存在を知ったのは、以前ライブを見に行った梁香など、台湾のインディーズ・シーンでジャーマン・プログレや九十年代の日本を想起させる先鋭的なバンドはないのかナと探していたときで、最近アルバムを紹介した落差草原 WWWWなどを聴くようになったのとほぼ同時期。つまり本当に最近ということです(爆)。

今回はFORESTSと落日飛車、二つのバンドのツアーということなのですが、自分の目的がFORESTSであることはいうまでもありません。ちなみに青山月見ル君想フのサイト紹介には、「音楽的実験を繰り返し、ガレージ、ポストパンク、NO WAVEなどを吸収し、次々に変化していくその音楽性はクラウトロック的でもあり、現在の台湾で最も実験的で先鋭的なバンド」とあるのですが、確かにジャーマン・プログレっぽい雰囲気は濃厚ながら、昨年リリースしたアルバム『Dead Species』を聴いたときにまず頭に思い浮かんだのは、UNIVERSE ZEROとART ZOYDでした。その呪術的でダークな曲風は完全に自分好みで、これはライブを聴いてみたいなと思っていたらまさかの来日発表で小躍りした次第です。

アルバムの音はたしかに先鋭的でありながら、学生時代からずーっと”こういう”音を聴いていた自分には手堅くまとめたようにも感じられ、これがライブだとどうなるんだろうという期待と不安があったのですが、これが予想を遙かに上回る過激なライブで感動しました(爆)。

ちなみに昨晩のライブではFORESTSの前にまず落日飛車のパフォーマンスがあったのですが、これもグルーヴの効いた心地よい音でこれもまたよかったです。軽快なリズムとギター、そして心地よいボーカルが印象的だったアルバム『Bossa Nova』とその風合いはやや異なり、ライブでは間奏も長くなかなか聴かせる音だったように思います。当日の観客のあらかたはOGRE YOU ASSHOLEがお目当てだったんじゃないかナ、と推察されるものの、落日飛車の演奏も皆かなり愉しんでいたように見えました。

で、しばしの休憩を挟んでFORESTSの登場。ノイズの轟音と激しすぎるパーカッションで始まった演奏に、ぱっと見観客はドン引きしていたように見えたのは自分だけでしょうか(爆)。落日飛車の演奏でも尊龍のドラムはアルバムの音と違いかなり激しかったという印象はあったのですが、FORESTSのビートはそれを遙かに上回っていたような気がします。そしてギターをベースに持ち替えての國國のプレイも素晴らしいの一言。尊龍の過激なドラムから一歩後ろにひきながらも、確実なビートを刻む一方で、突然高音へと駆け上がるベースラインはまさにART ZOYDを彷彿とさせ、完全にツボでした。

FORESTS & 落日飛車 JAPAN TOUR 2016 @ 青山月見ル君想フ
FORESTS & 落日飛車 JAPAN TOUR 2016 @ 青山月見ル君想フ
FORESTS & 落日飛車 JAPAN TOUR 2016 @ 青山月見ル君想フ
FORESTS & 落日飛車 JAPAN TOUR 2016 @ 青山月見ル君想フ

そしてJonの織りなすノイズと激しいパーカッション、――『Dead Species』を聴いたときには打ち込みだと思っていた音が、実は彼のプレイだと知った時の驚きと感動といったら……。途中、あまりに激しすぎて片方のスティックを吹っ飛ばしてしまい、國國に拾ってもらうというアクシデントもありましたが(爆)、とにかくこのバンドの本質はリズムだなと実感した次第です。よくよく聴き返してみれば、「Dead Species」の冒頭などは、あのTony Conrad & Faustの名作『Outside the Dream Syndicate』を想起させるし、「Causal」の繰り返される呪術的なベースラインや「This Era」の縦横無尽なパーカッションなど、ノイズよりはリズムが際だっているバンドだということが判ります。

当初は一曲終わってもどのタイミングで拍手すればいいんだヨ、みたいな感じの観客も、すべての演奏が終わったあとは大拍手。素晴らしいパフォーマンスを目の当たりにすることができました(なお、写真は撮っていいのか悪いのかよく判らなかったのですが、廻りの人たちがケータイでパシャパシャ撮っていたので、上にあげた通り、自分も調子に乗って少しだけ撮りました)。

ライブは昨晩が初日で、このあと月曜日に再び「青山月見ル君想フ」でのプレイがあり、そのあとは名古屋、大阪、京都と続く予定。自分のようなプログレマニアのロートルでもかなり愉しめる音なので、オススメです。

2016年2月22日(月)@東京 青山月見ル君想フw.あらかじめ決められた恋人たちへ
2016年2月23日(火)@名古屋 TBA
2016年2月24日(水)@大阪 CONPASSw.psybava
2016年2月25日(木)@京都 GROWLYw.yoji & his ghost band
2016年2月27日(土)@京都 京音-KYOTO-

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