これから数回の記事に分けて、九月二十三日に授賞式が行われた第五回島田荘司推理小説賞と御大の台湾訪問記をまとめていきたいと思います。御大が羽田空港から台湾の松山空港へと出発したのは二十一日の木曜日で、二日目には故宮博物館の見学などをこなし、三日目となる23日の授賞式へと臨みました。
というわけで、まずは一日目の羽田空港の写真から。今回は、映画『幻肢』で主役を務めた俳優の吉木遼君のほか、『サイコパス』の作者である脳科学者の中野信子夫妻も同じ飛行機便で台北松山空港へと向かいました。
御大が吉木君とともに搭乗ゲートで待つことしばし、搭乗アナウンスが始まっても中野夫妻が現れないのに肝を冷やしましたが(爆)、無事、松山空港へと到着すると、金車と皇冠文化出版のスタッフによる熱烈歓迎が待っていました。
定番の記念撮影ですが、今回は大人数のため、前回よりも大きめの顔出し看板が用意されてました。撮影を終えるとすぐに台北市内のホテルへと移動して、荷物を預けたあと、六堆伙房客家麵食館でランチ。
ここで文藝春秋の編集者であるA俣氏から、日本より持参した刷り上がったばかりの陳浩基『13.67』のお披露目がありました。二段組みで分厚い!
ここであらためて説明するまでもありませんが、『13.67』の作者である陳浩基氏は、『遺忘・刑警(『世界を売った男』)』で第二回島田荘司推理小説賞を受賞。受賞後第一作となる『13.67』は10カ国以上で翻訳出版される大ヒットとなり、ついにこの十月に日本版が文藝春秋から刊行される運びとなりました。なお、陳浩基氏については後ほど別の記事にて、皇冠文化出版で行われたインタビュー時の写真も添えつつ、最新作『網内人』の内容などとともに詳しく紹介したいと思いますので乞うご期待。
さて早々に食事を済ませると、授賞式の会場となる金車文藝中心へと移動しました。ここで御大が「皇冠雜誌」をはじめとする複数のインタビューをこなしている間、自分は会場を散策。御大がインタビューを受けているエリアには、歴代の受賞作が飾られていました。
海外で翻訳刊行された中にはもちろん文藝春秋からリリースされた寵物先生『虚擬街頭漂流記』や陳浩基『世界を売った男』、胡傑『僕は漫画大王』、文善『逆向誘拐』もありました(――と書きつつ、ここにディスプレイされている寵物先生『虚擬街頭漂流』は自分が日本から持ち寄ったものであることはナイショ)。
インタビューでは、入選作に対する印象を語っていた御大ですが、やはり21世紀本格のような新しい創作技法を用いた作品が今回は少なく、黑貓C 『歐幾里得空間的殺人魔』をカーに、そして青稞『巴別塔之夢』をヴァン・ダインに、弋蘭『 誰是兇手』を松本清張の作風に喩えていたのが印象的でした。
精力的にインタビューをこなした御大とともに、皇冠主催によるこの夜の夕食会場AoBaへと向かったときには六時をまわっていましたが、御大に疲れはまったく見られず、蟹料理では写真の通り、蟹味噌までもタップリと堪能していた様子。
翌日は朝から故宮博物館を見学し、ランチのあと足裏マッサージを愉しまれた筈で(上に述べた通り、自分は野暮用があったため合流せず)、夕方には『光にふれる』『共犯』の監督であるチャン・ロンジー監督の最新作となる『夏、19歳の肖像』の試写会のあと、松山の「珈琲や」で張監督との歓談がありました。次回は、ここで耳にした映画『夏、19歳の肖像』の内容や張監督の映画に対する思いなどについて、写真とともに紹介していく予定です。乞うご期待。
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