王榆鈞「音を編む」@青山月見ル君想フ

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昨晩はふたたび青山月見ル君想フに王榆鈞のライブを観に行ってきました。今回のイベントタイトルは「音を編む」。台湾から来日したアーティストのジャンルやイメージに近しい対バンの演奏も楽しみな青山月見ルでのライブですが、今回は一ノ瀬大吾DUO、原田茶飯事 、Lululu と全部で四組の音が聴けるという、なかなかに豪華なものでした(ただ、19時開始からのはずが三十分遅れたたので、帰りの駐車場が閉まってしまうのを気にしながらトリを務めた王榆鈞のパフォーマンスを聴いていたのはナイショです)。

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一ノ瀬大吾DUOは、フラメンコっぽいハードなガットギターにブイブイと唸りまくるコントラバスをフィーチャーした二人組。初っぱなから猛然と突き進んでいく演奏と大柄でコワモノな二人の風体や、なんの前振りもなく靴を脱ぎ捨て、裸足でカスタネットを叩きながらギターを弾くという奇天烈な演奏ぶりともあいまってちょっと怖い人たちなのかナ、……と思っていたらギターの祥氏が思い入れタップリに唄う「Bella Chao ~貴方にとろけたい~」には大爆笑。会場にも手拍子を促して観客をノリノリにさせる熱気溢れたパフォーマンスは、短い時間ながらもかなり愉しむことができました。

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次の原田茶飯事氏はこれまたかなり異色のパフォーマーで、ブラスを模したボーカル(?)や、調子っハズレのように見えて思いのほか声量のある唄いっぷりなど、その演奏は唯我独尊。続くLululuはサイトのプロフィールに「古き良きレトロサウンドをPOPに昇華 3人のハーモニーとアコギとフィドルとベース 温もりのあるアナログサウンド」とある通り、温かみのある音色が耳に心地よい三人組。MCでギターの平岡千代嬢はこのバンドのサウンドを説明するのにカントリーをあげていましたが、その特徴を大きく印象づけているのは森島玲嬢の奏でるフィドルでしょう。しかしながらこのバンドの最大の魅力は、個性の異なる三人の声の美しいハーモニーで、特に二曲目はこの魅力を最大限に引き出した名曲だと感じました(しかしこの曲のタイトルが判らない。「鴉」? これについては後述)。

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で、いよいよ小休止を挿んで王榆鈞の登場となったわけですが、前の三組がおしなべてアグレッシヴで明るい曲調だったのに対して、彼女のサウンドはかなり異色に感じました。ちょっと憂いのある彼女の外見にくわえて、その歌唱もまた独特。

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なんというか、しっかりと歌い上げることなく、むしろそこから声音の向こうにほの見える翳を聴く者に想起させるようなサウンドで、ギターも前の三バンドとはまた異なり、かなり変則的な音使いに聞こえました。これは演劇なんかとすごく相性がいいんじゃないかナ、と思ったら青山月見ル君想フのサイトにも「各種演劇等での創作を行っており、ジャンルを超えた高い評価を得ている」とあるのに納得した次第です(このあたりの活動は後でちょっと調べてみることにいたしましょう)。

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なお今回のライブも整理番号順ではなく、並んだものから入場できる方式だったので、開場時間に行ってみると、なんとなんと初めての一番乗り。焦ることなくいつもの場所へ陣取ることができました。写真を撮ったのは王榆鈞のパフォーマンスだけだったのですが、今こうして思い返すに、Lululuの演奏も撮っておくべきだったといささか後悔しています。二曲目に演奏された曲のタイトルは何だったのか、動画を撮っていればあっさりと判明したに違いなく、――上にも書いた通り、記憶では「鴉」だったように思うのですが、Lululuのファーストアルバムである『My way』にその曲名は見当たらないし(「鏡」という曲はアリ。さわりだけ聴いていたみたけど違うような……)、youtubeでも探り当てることはできませんでした。

あのとき躊躇うことなく動画も撮っておけば、こうして駄文を綴りつつ、バンドのセンターを担う平岡千代嬢の宮崎あおいを彷彿とさせる可愛さや、その顔立ちも自分の好みのどストライクだった森島玲嬢の美しいシルキーボイスをグフグフと聴き返すこともできたのに、――などと悔やんでも仕方がないので、とりあえずあの曲が次のアルバムに入っていることを期待しつつ、この夜の彼女たちから「重大発表」として公開されたプロジェクト「Lululuの新アルバム制作を一緒に盛り上げよう!」を支援してみることにしました。

[追伸:2019/01/22 この曲ですが「カラス」でした。2019年にクラウドファンディングによってリリースされたセカンド・アルバム『LIVE in the Good Old,STAY POP』に収録されています。このアルバムリリース記念にライブの感想は以下の記事にあります]

Lululuニューアルバム誕生祝いだよツアー〜東京フルバンド編〜@吉祥寺STAR PINE‘S CAFE

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よくよくこのプロジェクトの内容に眼を通してみると、「目標金額の達成有無にかかわらず、サポーターがプロジェクトに支援を申し込んだ時点でプロジェクトの成立(売買契約の成立)とな」るとあるので、クラウドファンディングの体裁はとりつつも、実際はアルバムの事前予約ということになるのでしょう。なるほど、クラウドファンディングもこういう使い方ができるのだな、と感心した次第です。

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というわけで、この夜の演奏も大満足。また三月中にもう一度、青山月見ル君想フには足を運ぶ予定なので、動画の準備も整えつつ次回のライブを愉しみに待ちたいと思います。おしまい。

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