ロン・モンロウ“栗子”「『中国のシンデレラ』、衝撃の初登場!」/ ロン・モンロウ

ジャケ写を見て一瞬、以前にデジタル写真集として刊行された「1/1,400,000,000の灰姑娘」の長尺バージョンかいな、と思ったのですが違いました。よくよく確認してみると、「灰姑娘」のカメラマンは佐藤裕之で、こちらは熊谷貫。でもジャケのニットはそっくりジャンと思って、これまたジーッと見て見たら微妙に違ってました。

「灰姑娘」の二倍以上の値段がする本作ですが、「灰姑娘」が37頁であるのに対して、こちらは54頁。ほんの少しボリュームがあります。とはいえ、個人的な好みは「灰姑娘」の方かもしれません。まずざっと内訳ですが、ワンピースが4頁、黒ビキニに水玉模様のシャツを羽織った4頁、それに続いてパープルっぽいワンピースの水着写真が10頁。白のノースリーブに紺色のロングスカートが6頁。そしてジャケ写にもある白ビキニにザックリ編みのニットを羽織ったのが12頁。赤ビキニが4頁。水玉模様のシュミーズっぽい衣装に黒のショートパンツっぽい衣装が8頁。

いずれも色気にふったというよりは、彼女らしい快活さを前面に押し出した仕上がりで、だからこそひとつひとつの衣装に入っているささやかなチラ見せカットにハッとさせられることしきりでありまして、最初のワンピースは正面から写したカットはごくごく平板なものながら、後ろはざっくりと背中を見せたデザインになっており、美しい二の腕や背中の柔肌を拝むことができるのがグッドジョブ。肩紐なしの黒ビキニはこれまた存外にノーマルであまり響くものはないかと思いきや、一枚目のカットでは、濡れた水玉模様のシャツから滴る水滴と艶やかに濡れた腹部に注目でしょうか。

プールに入っているパープル水着もそれ自体はこれといった特徴こそないものの、頁をめくるごとに彼女が艶めかしい表情へと変わっていく構成がいい。ここでは胸の谷間を見せつける定番ポーズもとって、若年層から搾り取ってやろうと(何を?)と企図したかに思えるカットがテンコモリ。胸の谷間というストレートに情感を刺激するカットを続けたすぐあとに、風にあおられたスカートの内側から筋肉質な太腿を見せつけてわれわれ読者を睨めつけるカットを配したのも秀逸で、収録した写真の衣装ではもっとも凡庸に見えるノースリーブにロングスカートがここでは見事なチラリズムによって極上のエロティシズムへと昇華されているところがとてもイイ。なお、ノースリーブの娘っ子写真においてマニアがもっとも期待するであろう腋見せもささやかながら達成されているので、「胸より尻よりとにかく腋ッ!」という好事家の期待も裏切ることはありません、――とはいえ、腕あげではないのでそこはマニアならではのイマジネーションを爆発させて、陰影の向こうに幻を見る必要があることは申し添えておきます。

で、ここからはジャケ写にもある白ビキニにザク編みニットへと続くのですが、ねばい視線を凝らして「灰姑娘」のカットと見比べてみたところ、上にも述べたとおり、ザク編みニットはクリソツながら衣装は違っている様子。しかしこのビキニの上に羽織ったザク編みニットって、それなりの需要があるのでしょうか? 個人的には全然エロくないのですが、ヤングにはなにか訴えるものがあるのかどうか。

ここでようやく彼女の美しきヒップラインを拝むことができるのですが、見返り美人をはじめとするヒップを強調したカットはやや少なめ。昔の根本好伸撮影による高橋愛の写真集や、最近では長野博文撮影による川口春奈の一連の傑作写真集ほどのヒップ推しを期待することは無理としても、ここは今少し踏みこんでもらいたかったところながら、そのかわりこのザク編みニットにおいては、立ち姿に座りと彼女の太腿の魅力を堪能できるカットを連続させているところにご注目。

太腿という点では、水玉模様のシュミーズふう衣装においても同様で、今後はおみ足をアピールしていく戦略なのかどうか興味の湧くところであります。ともあれ、個人的には「灰姑娘」の方が彼女の魅力がごくごくストレートに発揮されていると感じられたのもまた事実で、彼女のことはよくわからないけど、とりあえず(どんだけエロいのか)見て見たいという方であればまずは「灰姑娘」を手に取っていただき、さらなる興味が湧いた場合のみ本作に進まれるのが吉、でしょう。

ロン・モンロウ(栗子)写真集「1/1,400,000,000の灰姑娘」

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