“Newblood” sound source #02 / concrete twin

日本のインディーズ・アンビエントと平行して数ヶ月前から聴き始めたのが、シューゲイズ界隈の音楽で、その中でもPlant Cellと並ぶお気に入りのバンドがconcrete twin。現在はbandcampで三枚のアルバムをリリースしているのですが、それぞれが特色のある逸品揃いです。

最新EPとなる本作は、“definitely”と“pazzle”の二曲を収録。“Twin”というバンド名にシューゲイザーというところから、自分のようなロートル世代が4ADのCocteau Twinsを想起してしまうのは当然のことでしょう。実際にバンド名から想起される通りのサウンドながら、しかし一曲目”definitely“の幽玄と白光のような美しさは、本家を超えているかもしれない。

完全にサウンドと一体となって緩やかに浮上しては消えていく儚いボーカルに、無機質な打ち込み(風?)のドラムの重なりが生み出す耽美――この一曲だけでもこのアルバムは即買いと断言できるほどの素晴らしさなのですが、二曲目の“pazzle”はもう少し拡がりの感じられる音が展開されています。ジャケットに見出される女性の背景――淡いブルーグレーのような音像が秀逸で、マイブラの影響が濃厚に感じられた前作『those who are nothing』からこの高みへと至った経緯に興味が湧いて、――ということでちょっと調べみたところ、ここ最近になってメンバーに若干の変遷があったらしく、本EPでは新規加入を果たしたボーカルNao嬢の個性がこのバンドの音の変化に影響を与えているのかもしれません。

さらに音としての変化に顕著なのが、耽美と叙情を生み出す至高のギタリストokada氏のギター・トーンで、2015年にリリースされた『those who are nothing』では、上にも述べた通りやはり My Bloody Valentine 、――それもとくに『LOVELESS 』の影響が強く感じられます。たとえば2,3曲目の“d’etre””fluid”における激しく歪んだギターなどはその典型ながら、本家のマイブラと違うのはシンプルなベースラインとドラムなどは、本EP“definitely”の登場を予感させ、このあたりの過剰に走らない調律がこのバンドの大きな魅力。

本EPの二曲は、本家Cocteau Twinsというよりは、Robin Guthrieにも通じる美しさが印象的で(Cocteauだともう少しボーカルが前に出てる)、この美しさをさらに凝縮して煮詰めていったらRobin Guthrie And Harold Buddのようなアルバムになるのでは、という気もします。しかしそこで踏みとどまり、敢えてライブバンドとしてポップに振っているのが”pazzle”――という印象でしょうか。このあたりにも上にも述べたokada氏の極めたクールなセンスが出ているような気がします。

――と、実をいうと上の文章は某所に綴ったコメントをまとめたものなのですが、今日あらためてこのバンドの三枚を聴き通してみて、このシンプルなリズムとボーカルの儚さと美しいギター・トーンは、一時期の王菲にも通じるものがあるかもしれないと気がつきました。一時期というのは、アルバムで言うと『浮躁』、EPでは『自便』あたり。

もちろん『浮躁』にはシューゲイザーという趣は薄く、ギターもアルペジオがメインで、マイブラの欠片もないのですが、注目したいのはこのシンプルなリズム。たとえば“野三坡”の浮遊感とシンプルなリズムが“definitely”と同じベクトルに向かっているように感じるのは自分だけでしょうか。もしかしたらこのバンドであれば『自便』に収録された“守護天使”や“自便”のような美しくてシンプルでポップな曲をものすることができるのではないかと淡い期待を抱いてしまいます。

このバンド、頻繁に高円寺あたりでライブを演っているのですが、日にちが土日だったり、撮影禁止のハコだったりとなかなかそのパフォーマンスを体験する機会に恵まれていないのですが、いつかはokada氏のギターとボーカリストのNao嬢(可愛い^^;)を実際にこの眼で見て見たいな、――と考えています。bandcampには上にも述べた通り三枚のアルバムがありますが、オススメは「フルデジタルディスコグラフィーを購入」(爆)。まとめて三枚即買いするだけの価値は十二分にあります。超オススメ。

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