いつもの読書感想文とはちょっと趣きが異なるのですが、今日はそろそろ使い始めて数ヶ月になる筆記具、パーカーのインジェニュイティについて書いてみたいと思います。というのも、万年筆、ボールペン、ローラーボールペン、ペンシルに次ぐ「第五の筆記具」として大々的に喧伝されているこの筆記具の使い心地については、ネットをざっと見廻してみても、そのほとんどが試し書きをしたときの感想をさらっと並べた絶賛記事ばかりで、実際に一ヶ月以上使ってみての感想というものをアンマリ見かけないからでありまして――。
インジェニュイティの筆記具としての使い心地はもちろんなのですが、ここではタイトルにもある通り、果たして、この「第五の筆記具」は左利きにとって使いやすいものなのか、という観点から色々と書いてみたいと思います。ちなみに自分が手に入れたのは、ブラックラバー&メタルCTではなくて、ごくごくフツーの外観を持ったブラックCTの方。ブラックラバー&メタルCTは何となーくなんですが、「スタバに入るやおもむろに鞄からMacBook Airを取り出してバリバリと仕事をこなしつつ、iPhoneでツイッターをチェックしながら、ドヤ顔でモレスキンのノートにインジェニュイティのブラックラバー&メタルCTでガジカシとメモしているガジェット好きのエッジな人」みたいなイメージがつきまとうからでありまして……という半分は本当ながら(苦笑)、実をいうと、新開発のソフトラッカー仕上げの耐久性についてはまったく未知数だったので、怖くて手が出せなかったというのが本音です。
で、閑話休題。左利きであれば、万年筆はもとより、油性ボールペンでも文字がかすれるというのは当たり前という方がかなりいるのではと推察されるのですが、そんな自分が普段使っているのはLAMYの万年筆で、ニブはLH、F、EFの三種類。LHは今のところサファリとstに入れているのですが、最近はメモ書きが多いため、もっぱらステュディオのFを常用しています。
LHはまあ、左利き用のニブですから書きやすくて当然、ではFやEFはというと、少なくともLAMYに限っては使いにくいと感じたことはありません。自分は左利きの典型ともいえる癖書き――いわゆる手首を巻き込むようにしてペンを持つ筆記をするのですが(下の写真みたいなかんじ)、「ひねり」を意識してペンを持つようにすれば、左利きの巻き込み持ちであっても、それほど万年筆での筆記に困ることはないのではないか、というのが自分の感想であります。
ボールペンでは、油性、ローラーボールに限らず、左利きの場合、ペン軸の角度にも注意を払う必要がある一方、万年筆の場合、上に述べた「ひねり」さえ気をつければ、角度にはそれほど神経質にならなくてもキチンと字が書けるわけですが、では「第五の筆記具」であるインジェニュイティはどうか。
結論からいってしまうと、これをチャンと使いこなすのは、左利きにとって思いのほか難しい(爆)。もっともこの場合「万年筆を常用している左利きにとっては」と限定する必要があるのかもしれませんが、色々とひっかかるところがあります。例えばこの万年筆を擬態したペン先。一見すると万年筆っぽいので、紙にペン先を近づけるときには、本当のペン先といえるリフィルの先端ではなく、シルバーのペンポイントっぽいところを紙に付けて書こうとしてしまう。
たちの悪いことに、自分のような巻き込み書きをすると、ペン軸の角度によってはこの「真のペン先」とでもいうべき突起部分が影になってしまいます。この「真のペン先」の角度を色々と調節しながらペンポイントを探っていくというあたりは万年筆と同じなのですが、万年筆でこういうことは起きません。つまりペン軸の立て方によっては、この万年筆に擬態したシルバーのペン先から「真のペン先」がはみ出しているために影が生じてしまうというわけです。これは、かなりストレスが溜まる。
もっともこれだけのことがありつつも、書き心地が今までの筆記具を凌ぐものであれば使う意味もあるわけで、そのあたりはどうなのか、という点について次に述べてみたいと思います。