AM4/ComeOver / seasunsalt

自粛とステイホームから解放されても依然として遠出ができないため、首都圏内のドライブで聴く音楽となるとだいたい決まっていて、太田ひなの二枚とseasunsaltの三枚はプレイリストの先頭に入れているため何度も繰り返し聴いてます。つまりそれほどのお気に入りということでもあるのですが、太田ひなについてはまた次に語るとして、今回はseasunsaltの今年に入ってリリースされたこの一枚を取り上げてみたいと思います。

seasunsaltの音をはじめて聴いたのは吉祥寺NEPOのライブでのことでした。R&B、SOULをベースにしながらエスニックな音色を絡めた繊細なリズムが鮮烈で、そのあとbandcampから『ect』と『Into the Sleepless Night 』をゲットしていずれも愛聴盤となりました。この二枚で自分がseasunsaltらしい音と感じる曲をあげると、『Into the Sleepless Night 』ではとにかく複雑な重なりを聴かせるリズムに相反して、おどろくほど流麗なボーカルラインが印象的な”fall”。この曲は中盤から聞こえてくるエスニックな音がスパイスとなっているのですが、”pjm0″ではシタール風にさえ聞こえてしまう弦楽器のラインと、ハスキーとも異なるざらっとしたふじたまゆの声質が心地よい。

もう一枚の『ect』は冒頭から感じられる東洋的な音空間が静謐さを醸し出し、軽やかな”shadow”へと転じる構成も素晴らしい。個人的にこのアルバムで一番のお気に入りは”EX”で、上でも言及したふじたまゆの声質の魅力に、無機質なドラムと繊細にしてエスニックなリズムというseasunsaltの魅力を堪能できる一曲。

さて、――ここでようやく本題となる『AM4/ComeOver』の話になるわけですが、収録曲はタイトル通りに”AM4″と”ComeOver”の二曲のみながら、ここまでで語ったseasunsaltの個性が凝縮されたEPに仕上がっています。”AM4″は、たしか朝の4時に着想していっきに書き上げた、みたいな話をラジオでだったか、ふじたまゆさんが話していたように記憶しているのですが、その言葉通りに早朝の澄み渡った空気を感じさせる清涼感溢れる一曲。ここでも冒頭から聞こえてくるスティールドラムめくリズムがいい味を出しています。この曲に続く”ComeOver”も穏やかな疾走感が心地よい一曲で、たったの二曲ながらドライブのお供に好適な一枚といえるのではないでしょうか。

そしてseasunsaltの最新曲となるのがOTOTOYの救済プロジェクト”Save Our Place”に提供された”fade”。三枚に収録されたものとはかなり異なる曲風で、おそらく何年後、いや、数十年後にでも今年のコロナ禍を回想するとき、この曲が頭のなかに聞こえてくるような――そんな気がします。繊細なリズムを封印して、転調を回避しながら秘めやかに進行する展開のなかを揺蕩うふじたまゆの抑制されたボーカルがとにかく素晴らしい。ステイホームに部屋のなかで息を潜めながら、それでも世界の実相に耳を澄ませているような、――とでもいえばいいか。それほどまでに今のという時代を体現しているような気がします。

正直seasunsaltに関しては、すべてのアルバムと曲がおすすめなのですが、手っ取り早くどれか聴いて見たいという方にはbandcampがイイ。何と無料ダウンロードできてまう(爆)。

これが気に入ったら是非とも『AM4/ComeOver』も手に取って、現在進行形のこのバンドの音を体験してもらいたいと思います。超オススメ。