前回の続き。これにて第一部は終了となります。
水谷: はい。ではどうしましょう。もう一人ぐらい……。
島田: あ、いや、急げっていってませんでした? 次に行かないと終わらないような気がしますが。大丈夫ですか。あ、いいですよ。
水谷: もう一人くらいにしようかなと思うんですが。どなたがいいですか。アガサ・クリスティーか、松本清張か、はい。江戸川乱歩。
島田: 江戸川乱歩がいいかもしれないな。
水谷: 江戸川乱歩は天秤座……。
島田: 江戸川乱歩は天秤座なんですよ、そしてね、面白いことに、江戸川乱歩、それから高木彬光さん、まあ、出していいの……他にいないんで、私――みんな天秤座なんですね。ですからその天秤座的な形で拓かれていったわけなんだろうと思うんです。ですがこれ、エンターテイメントの――まことに軽いところがあり……あの、ですから江戸川乱歩さんは英米流の理知的な本格ミステリー、そしてそこに科学というものが介在している。こういう大事なところを……初期の作品にはあるんですよ。「月と手袋」とか「二銭銅貨」とか、えー……たくさんありますね。ちょっと続けて出てこないが……でも「鏡地獄」とかね、それから「屋根裏の散歩者」なんていうあたりは奇想の方へ行きます。
「屋根裏の散歩者」っていうのは、江戸時代にそういったような人間の寝所に忍び込んで盗み見をするような、そういうお話が出てきますが、とても江戸川乱歩といわれるぐらいで江戸の趣味を採り入れており、そして彼の奇想というものは江戸の読み物に実はルーツがあったりするわけですね。まあ、そして高木彬光さんも天秤座で、天秤座と双子座とちょっと似ているところがあり、非常に読みやすい文章――専門的で小難しいところというよりもむしろみんなに馴染みのいいお話調の、人口に膾炙したような、人の優しさに透視するような、そういう聞きのいいところもあり、それから博愛主義的なところもあり、同時に軽いところもあり……ですから大衆読み物の書き手としては向いていたんだろうと思いますね。
水谷: なるほど。
島田: あの、エラリー・クイーンもそうなんですね。これはフレデリック・ダネイという人が、山羊座じゃなかったかな。この人がLAに住んでいた。ロサンゼルスに住んでいたんです。そして彼がトリックを思いついたり、資料集めをしたり、全体のストーリーをつくったりしたんです。ですが山羊座の彼が(背面のスライドを眺めながら)……えっと、右側がダネイですが。
水谷: えっと、凄く似てませんか。先っき私、どっちがどっちか全然判らないって話をしてたんですが。
島田: あ、そうですね。私も髭で区別しているようなところがあって。
水谷: 髭で、なるほど。
島田: 従兄弟で血が繋がっているですけど、東海岸と西海岸に住んでたんですよ。ダネイの方がトリックやストーリーを思いついた。たけど彼は文章が書けなかったんですね。それで天秤座のマンフレッドにだっけ――という人に電話をして、こういう話を思いついたんだけど、トリックはこうだけどっていうと、よっしゃって彼が文章を書いた。ですからポーが発生させ、日本では江戸川乱歩や高木さんが定着させていく、だから非常に象徴的に彼がそれを持っているんですね。天秤座や山羊のコンビに。ですからひかりちゃんは両方持ってるんでね。あ、天秤を持っているかどうかは知らないけど、文章力もある。山羊座の着想力もある。非常に有望だと思いますよ。
光藤: ありがとうございます。
水谷: では二人じゃなくて一人でやったときも……。
島田: そうですね。
光藤: でも不安だからもう少し一緒にいこう。
水谷: 女性版は是非。でもこうやって作家さんの作品を星座を通して見るというのも面白いですよね。あんまりそういうことをされたことは……。
島田: えっと、ないかもしれないですね。
水谷: そうですよね。はい。
島田: ないかもしれない。あの、これは太陽宮だけで見ているわけですが、ホロスコープまで書いてみると、例えば長島さんのホロスコープと選手のホロスコープは……なんてことは前エッセイに書いたことがあります。これがなかなか面白いんですね。まあ、水谷さんの方がご専門でらっしゃるんですが。
水谷: いえいえ、とんでもないです。先生の方が……。長く続けてらっしゃるので……。うーん……大丈夫ですか?
水谷: あ、はい。次は何でしたっけ?
島田: もう一人くらいいけますか?
水谷: あの……もう一人。いや、それだったら、それで一部終わって良いですか? そういう話だけして。
司会: そうしましょうか。はい、ここでいったん休憩を取りまして。
島田: じゃあ、最後にね。星座というのは、どういうものか一応お話をしておきましょうかね。
水谷: 是非お願いします。
島田: あの、太陽宮という……占星術というのは主として惑星で占うわけですよね。惑星というのは太陽系を……太陽を中心に廻っている星です。で、これらは同じ道を通るんです。見かけ上。それはどうしてかと言いますと、太陽系というのは平たい円盤のような、ちょうど透明な硝子板の上をこう……惑星がくるくる滑っていくというような形を取ります。ですから地球から見ると、見かけ上同じ道を通るんです。これは引き返したりするんですけど、この幅はだいたい十六度の黄道……黄色い道と言われた道を通ることになっています。まあ、足下を通ってこう、空に廻ってぐるっとドーナツ型に廻っているんですね。そこに太陽がどうしているか、月がどこにいるか、金星がどこにいるかというような形で占うんですが、真っ暗の星の中で今月がどこにいる、金星がどこにいるといっても判らないですよね。で、目盛りが必要になるんです。
そこで、その目盛りとして星座が使われたわけですね。その星座が黄道、見かけ上の惑星たち、月も星も含めての惑星たちが通る黄道上にまたがって存在している星座を目盛りに使ったんです。これが獅子座であり乙女座であり、山羊座であり……そういったものなわけですね。これを使うといま月は山羊座にあるとか、木星が水瓶座にあるとかいうわけですね。そしてこれらの星座は獅子座とか山羊とかそんなふうに動物が多かったので、獣帯――獣の帯というふうに呼んだわけですね。そしていわゆる双子座とか天秤座とか山羊座っていうのは、太陽だけで見ているわけですね。我々が生まれた時に、六月頃に生まれたら太陽が双子座にあるとか、それから双子座とかいうふうにいうわけですね。私は天秤座になった。これは何故かというと太陽が圧倒的に影響力が強い星だから、なんですよね。
水谷: あれですよね。正確にずうっとこう一周するっていう……一年をかけて。はい。
島田: あ、それ、説明してください。木星はだいたい一年に一度ずつ……例えば木星というのは非常に幸運な星、それはだいたい一年に一つずつ移動していくわけです。だからあの、天秤座に木星があれば、天秤座の人はその年は非常に幸運だ、というような占い方をするんですよね。今、木星はどこにある?
水谷: 今は蟹座にあります。
島田: 蟹座に。たった今もある?じゃあ蟹座の人が十二年に一度の幸運期、簡単にいえばそういうことがいえるわけで……。
水谷: あ、後半にちょっと続きがあるんですけど……。
島田: ああ、後半にね。じゃあ、すいません。このあたりで。
司会: じゃあ、第一部はこれにて終了ということで、よろしゅうございますでしょうか。
(拍手)
水谷: 大変貴重な話をうかがえまして、ありがとうございました。第二部も島田先生はもちろん出ていただけますし、この後は……。
光藤: はい、第二部は運勢ブサイクランキングといって、えーっと、星座の運気の悪い星座をランキング形式に発表する、ちょっとまあ、くだけたかんじの。
水谷: 第一部とは打って変わって、くだけたかんじのコーナーになりますので……。で、二部には小島正樹さんと、青柳碧人さんも登場して下さいますので、是非愉しみにしていただけたらと思います。
光藤: はい、あの……一部でもしかしたら帰られちゃう方もいらっしゃるかなと思うんですが、今日はちょっと私と奏音さんから、来て頂いた方に感謝の気持ちをこめて、フォーチュンクッキーをプレゼントしたいとなと思ってますので、途中で帰られる方は受付で受け取っていだたけると嬉しいです。
水谷: 是非その中にあの……フォーチュンクッキー、もちろん皆さんご存じかと思いますけど、中に籤が入ってますので……占いが入ってますので、是非愉しんでいただけたら嬉しいなと思います。
光藤: そしてあの……十分休憩入るんですよね? ここで。で、その休憩中に私たちのおもしろ動画が流れますので、そちらの方も是非愉しみにしていてください。
(これにて第一部終了)
『12星座殺人事件』出版記念イベント~ミステリーと占星術の夕べ @ 東京カルチャーカルチャー(テープ起こし・1)
『12星座殺人事件』出版記念イベント~ミステリーと占星術の夕べ @ 東京カルチャーカルチャー(テープ起こし・2)
『12星座殺人事件』出版記念イベント~ミステリーと占星術の夕べ @ 東京カルチャーカルチャー(テープ起こし・3)
なお、当日の写真は、Flickrに挙げてあります。