アンデッドガール・マーダーファルス 2 / 青崎 有吾

本格ミステリとしての謎とロジックによって引かれた本線をメインに、後半は劇画っぽいアクション・シーンまで添えて徹頭徹尾エンタメにこだわった前作『アンデッドガール・マーダーファルス 1 』が最高に面白かったので、こちらも購入。『1』とはやや趣が異なるものの、これはこれでアリかなと思いました。

物語は、とある邸宅のダイヤを巡って、ルパンとロイズ保険機構に加え、ホームズにメインの鳥篭使い、さらには主人公達の宿敵までもが入り乱れての争奪戦が大展開、――という話。

キチンとしたコロシが発生して、そこに怪物が人間と同居する異世界ならではのロジックが炸裂した前作に比較すると、今回は謎解きを引き起こす事件らしい事件は明確に発生しないものの、ルパンの宝石奪取をいかにして阻止するか、相手の戦略を読み解きその裏をかこうとする展開を活劇風に見せてくれる趣向が素晴らしい。

宝石泥棒の前哨戦としてホームズ、鳥篭使い、ルパンの三組がちょっとしたトリックを用いて相手を欺こうとしたり、力比べをしたりと、本戦へ至るまでの盛り上げ方も見事なのですが、やはりいよいよルパンが登場して、宝石が盗まれた大変だァ!という起点から、複数の場面を同時進行させて争奪戦を活写した見せ方が秀逸です。そして、ホームズ、鳥篭使い、ロイズがバタバタしている間に、宿敵の”教授”が吸血鬼や魔術師、怪人といった部下を引き連れて颯爽と登場するシーンの無類の格好良さ、――ここは読んでいてゾクゾクしました。

宿敵の登場によって、ルパンの思考の先読み・後追いをしていた頭脳戦から、肉弾戦へ一転したあとの展開では、静句とカーミラの妖艶美女二人の死闘で静句がスラリと自らの武器を取りだしてみせるシーンや、極限の肉体を駆使した真打対敵陣の死闘など、劇画チックにコーフンできる見せ場をふんだんに凝らした活写がもう最高。そして死闘が終わったあとの逆転劇にさりげない仕掛けを添えて、鳥篭使い側の勝利で締めくくるエンディングも心地よい。

いよいよ宿敵の姿が明らかとなり、次回では本格的に敵陣へと乗り込んでいくのではないかと期待できるこのシリーズ。やはり『1』を読了したときと同様、次巻が愉しみでなりません。ちなみに友山ハルカのコミック版『アンデッドガール・マーダーファルス(1)』も手に取ってみましたが、ゴチャゴチャした画風はイマドキながら、静句に絡めて鴉夜の正体に誤導を添えた原作のミステリ的技巧もしっかりと凝らしており、原作ファンのみならず、自分のようなロートルでも十二分に愉しめる逸品へと仕上がっていました。本作ともども、こちらの方もオススメしたいと思います。

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