第六回島田荘司推理小説賞の入選作三編が先ほど金車文藝中心のフェイスブックにて発表されました。すでに誰かが日本語でツイートしているかもしれませんが、備忘録代わりに記しておくことにします。まず一次選考通過作は十編あり、それについては以下の通り(日本語タイトルは便宜上、こちらで勝手につけました)。
馮格 《不知山上》『知らずの山にて』
弋蘭 《無無明》『無無明』
子謙 《阿帕忒遊戲》『アパテー・ゲーム』
叩叩 《騎士之死》『騎士の死』
柏菲思 《強弱》『強弱』
王稼駿 《軀殼》『体殻』
吳勝文 《約翰下雨》『ジョン・レイン』
陳俊霖 《彷徨的殺意》『さまよう殺意』
唐嘉邦 《野球俱樂部事件》『野球クラブ殺人事件』
羅倩明 《故事由收到艾克爾大屋發出的信開始》『物語はアムコー館の手紙から始まった』
そしてこの中から二次選考を通過し、入選したのは以下の三編。
弋蘭 《無無明》『無無明』
柏菲思 《強弱》『強弱』
唐嘉邦 《野球俱樂部事件》『野球クラブ殺人事件』
今回は中国、香港、イギリス、オーストラリア、シンガポールなどを含めた各国各地から53編の応募があったとのこと。その中から一次選考を通過した十編はいずれもかなり個性的。この十編の簡単なあらすじについては次のエントリで言及する予定ですが、入選した三編について簡単に。
『無無明』の作者・弋蘭は第五回の入選者のひとり。前回の『誰是兇手』はかなりひねった感じのサスペンスでしたが、今回は連続猟奇殺人を扱った本格ミステリ(なのだけれど、やはりその内実はサスペンス)。
柏菲思は香港人にして日本語も堪能、さらには日本語で小説も書いているらしい(?)との噂。『強弱』のあらすじについては陳浩基『網内人』との共通性、時代性・社会性などについて色々と語りたいのですが、これについてはまた後ほど。そして唐嘉邦『野球クラブ殺人事件』は清朝から日本へ割譲された台湾を舞台に展開される松本清張+島田荘司という感じの大河ロマンミステリとでもいうべき物語。ともあれ三編のうち、どの作品が受賞してもおかしくないほどの出来映えゆえ、九月の発表が愉しみであります。
ちなみに今回の二次選考においては、詹宏志、張國立両御大に日本人の一人を加えた三人の選考委員がいずれも「まったく同じ」三作を推したという点でも異色でした。まあ、このあたりの裏話はまた九月の授賞式が終わってからここで語るかもしれません。というわけで、次のエントリは一次選考を通過した十編を取り上げてみたいと思います。乞うご期待。
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