第六回島田荘司推理小説賞の一次選考通過作の簡単な紹介(3) 子謙 『阿帕忒遊戲』

作者の出自は不明。ただ舞台は香港なので、おそらく今回入選した『強弱』の作者・柏菲思と同様、香港人ではないかと予想。

警察官のリョウは、弟のユウが家賃を三ヶ月滞納していることを電話で知る。ユウと三年もの間会っていなかったリョウは、弟の部屋を訪れ、不可解な出来事が記されている日記を発見。そこには弟がこの部屋で女性を殺害し、屍体を石膏漬けにしたあと、台湾へ逃亡したと記してある。そしてリョウは日記に記されていた通り、クローゼットの中に奇妙な箱を見つけるのだが――。果たして弟は日記に記されている通りの快楽殺人者なのか?

二転三転する真相! どんでん返しのためのどんでん返し! 作者は香港の駕籠真太郎か?! キワモノマニア垂涎! 香港ミステリの怪作がいま、ここに誕生!

物語は本格ミステリのロジックよりもどんでん返しによる驚きを中核に据えた作風で、日本のミステリでいえばメフィスト風。ロジックや必然を排して、ただひたすら事件の構図を反転させるどんでん返しを繰り返す本作の破天荒さは、台湾や香港のミステリ読みよりは、日本のキワモノマニアの方が真っ当に評価できるのではないかと想像します。そしてどんでん返しの無茶ぶりと真相には駕籠真太郎に通じるものが感じられるゆえ、このあたりもまた日本のキワモノマニアの意見をうかがいたいところです。入選こそしませんでしたが、本作も案外日本で刊行されれば好事家から一定の評価は受けるのではないかと。

というわけで、次回は馮格『不知山上』と並ぶコード型本格の怪作、叩叩 『騎士之死』を取り上げる予定です。乞うご期待。

第六回島田荘司推理小説賞の入選作三編が金車文藝中心から発表されました

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