第七回金車・島田荘司推理小説賞の入選作三編が発表されました

先日お伝えした第七回金車・島田荘司推理小説賞の一次選考通過作の中から二次選考が行われ、入選作三編が昨日、金車文藝中心から発表されました。

【第七屆 金車.島田莊司推理小說獎】複選結果

凌小靈『隨機死亡』と王元の『喪鐘為你而鳴』という“異形”と“破格”が同時選出される一方、『世界を売った男』を彷彿とさせる平易にして端正な文体によって描かれる探偵物語に、今までにない騙りを凝らした『棄子』が入っているところに注目でしょうか。

よく判らないのですが、今回は『優選得獎者』というのがあって、二次選考は通過できなかったものの、優秀作三編が別枠で選出されています。

小鎮青年『女神』は、入選した三編の中では『棄子』に近く、映像化が難しそうな(といえば大体どんな作風か察しがつくかと)一編で、こちらも別ルートで刊行されるといいなァと思わせる作品。白月系『積木花園』は先の記事で述べた通り、島田荘司『眩暈』のような幻視力を駆使したあるものの手記の謎に、『斜め屋敷』と小島正樹フウの大仕掛けが炸裂する力作。

『暗號』は、前回の『無無明』で入選した弋蘭の作品で、こちらも映像映えしそうなサスペンス溢れる逸品で、最近の台湾ミステリの中では、前回受賞した唐嘉邦の新作『疑案辦:血色芙蓉』に近いかもしれません(最近の台湾ではこうしたサスペンスを前面に押し出した警察小説が流りなノ?)。

興味深いのは、『積木花園』と『暗號』は、いずれも中国と台湾の作品ですが、コロナ禍の状況が作中に描かれているところで、数年あるいは十数年先にこの二編を読み返したとき、昨年今年の世相を思い返すことができるのではないかと――そんな気がしました。

受賞作発表は九月の筈ですが、いかんせん最近台湾もコロナ禍で大変な状況にあるため、どうなるのかはよく判っていません。まあ、また何か情報が発表されたら、ここで取り上げたいと思います。

第七回金車・島田荘司推理小説賞の一次選考通過作が発表されました