Drone Thai Mango / Yozhik

『Plaka / Øguu』『Missing / Kazuma Okabayashi』と、ここ最近の日本のインディーズ・アンビエントにおける傑作二枚を紹介してきましたが、いずれも日本的な原風景を強く感じさせる音だったのに比較して、今回取り上げる本作はタイトルにもある通り、南国タイの猥雑な音像を強く感じさせる傑作で全5編収録。

殷賑とした街のざわめきがエコーとともにゆったりとしたノイズへと呑み込まれていく”Drone Thai Shake”、遠くに聞こえる蝉の声にけだるげな音響が重なり、ひたすら漠としたリズムなきリズムのなかをたゆたう”Urban Cicada”。そして生活音を重ねた雄大なドローンが入れ替わり浮上する空間に、クラッチ音がささやかな緊張を添える“Lonesome Trip”。

アルバムの最後を飾る”โรงแรมของคนหาย Part 2 (Lost in the Hotel Part 2)“は、クラッチ音が何かの胎動を強く感じさせ、そこに得体の知れない(泥を踏む音? 咀嚼音?)音がちらちらと見え隠れする。この曲だけは音で景色を描き出した静的なものというよりは、何かの動きを描きとめたような雰囲気があります。

個人的なお気に入りは、タイトル通りに風を感じる“Koh Samet Wind”。Windでありながら、ヘッドフォンで聴いていると、しだいに夜の海で波の音にじっと耳を澄ませているような不思議な心地になってくるところが秀逸。

前半の強くタイ、東南アジアを感じさせる雰囲気が後半へと進むにつれ、どこか知らない宙づりにされた“異国”へと変容していく展開が素晴らしい。どの曲もちょっと終わり方が素っ気なくてそこのところだけが物足りないのですが、傑作だと思います。オススメ。

 

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