第四回島田荘司推理小説賞レポート@台湾(4)

前回の続きです。ちょっと間が開いてしまいましたが、今回は授賞式前日の『島田荘司と行く 宜蘭ウィスキー工場見学の旅』について。このツアータイトルは自分が勝手につけたものに過ぎないのですが(爆)、その内容は、島田荘司推理小説賞を主催する金車が宜蘭に抱くウィスキー工場や、蘭の栽培園を廻るというもので、――定員十名ほどのマイクロバスに乗ってノンビリ行くのかなと思っていたら、当日の朝、ホテルに横付けされたのはクラブツーリズムを彷彿とさせる大きな観光バス(爆)。参加者は四十人弱といったところで、この翌日の授賞式で司会を務めた推理評論家の冬陽氏、『世界を売った男』で第二回島田荘司推理小説賞を受賞し、その後傑作『13.67』を刊行した陳浩基氏、『ぼくは漫画大王』で第三回島田荘司推理小説賞を受賞した胡傑氏、同じく『逆向誘拐』で第三回島田荘司推理小説賞を受賞した文善女史、既晴氏、秀霖氏といった作家をはじめ、御大の台湾滞在中には専属通訳を務めた張東君女史等々――。

 
 

十時前には台北のホテルを出発し、雪山隧道を抜けると昼前には宜蘭へ到着していました。まず最初に訪れたのが宜蘭員山金車蘭花園。
蘭の栽培に関する講義を受けたあと、D.I.Yで蘭の鉢植えをつくるという体験を皆で満喫し、レストランへ。このときに運良く烏奴奴女史の隣に座ることができたので、彼女と話をすることができました。映画の『共犯』を見たこと、第一回島田荘司推理小説賞に応募した『獵頭矮靈』の感想などをこちらからひとしきり述べたあと、話は彼女が島田荘司推理小説賞に応募したあと脚本家になるまでのいきさつへと及びました。烏奴奴女史曰く、脚本の仕事をするようになったのは、これも脚本の賞があってそれに応募したのがきっかけだったと。また『共犯』に関しては事務所を通じて仕事をすることになったのだけれども、小説版も出ていてこれは映画とはストーリーがちょっと違う、とのこと――小説版『共犯』ですが、この翌日、授賞式後の夕食会のときに彼女からゲットすることができたので、後日、機会があったらここにまた感想をあげたいと思います。その後、映画『共犯』の張榮吉家監督のことや御大の作品の映像化に話が及び、ゆったりとランチをとりながらなかなか楽しいひと時を過ごすことができました。

       
 
 

ランチを終えたあと次に向かった場所が金車噶瑪蘭威士忌酒廠で、こちらが今回のツアーのメインといってもよいでしょう。ここでは可愛い女の子のスタッフが作品の説明をするとともに、日本に留学経験もあり、また東京で個展も開催したことのある画家・劉韋岑氏が御大の通訳を務めていました。一応ここで劉韋岑氏の経歴を紹介しておくと、2011年に 台北での『金車新鋭油絵奨』を受賞。2013年に東京芸術大学美術研究科 文化財保存学保存修復 油画研究室修士修了し、2015年には東京での『第27回 三菱商事 art gate program』に入選。作風は一見するとシルクスクリーンのようにも見えるのですが、写真を下地に絵を塗り重ねていくことで、重層的ながらも清涼感のあるイメージをつくりだしている感じで、その作品に御大も「なかなか」と絶賛していました。身振り手振りも交えながら自身の作品を説明していた傍ら、自作の前での記念撮影にははにかみながら応じていた劉氏はちょっと可愛かったデス(爆)。

       
 
 

作品の展示を一廻りしたあと例によって記念撮影を行い、一行はウィスキー工場へ。そしてウィスキー工場でのひとわたり終えると、定番の試飲会となりました。そこで島田荘司推理小説賞の成功を祈って乾杯、――ということでこの日のイベントは終了。宜蘭から台北への帰りは雪山隧道でちょっとした渋滞にハマりましたが、夕方過ぎには台北に戻り、そのあとはメディアの取材も交えた夕食を終え御大はホテルに戻られた様子。そして本番ともいえる翌日の授賞式と講演会に備えることとなりました。

         
 
 

ということで、次回は授賞式の後に行われた講演会についてテープ起こしも交えてまとめる予定です。乞うご期待。

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「映活vol.3<映画『共犯』上映&トーク>」@台北駐日経済文化代表処・台湾文化センター